近年の少子高齢化やライフスタイルの変化により、先祖代々の墓を継承していくことが困難となり、「墓じまい」をする人が増えている。「墓じまい」とは、現在の墓を撤去し、遺骨を他の墓地に移転又は永代供養墓地に改葬することをいう。
墓を移すには、かなりの手間と費用がかかる。一度家族で話し合ってみてはいかがだろうか。
目次
墓じまいの手順
step1
親族の了承を得る
後々のトラブルを避けるために、家族や親戚周りには必ず相談を。お参りに来てくれている親戚や分家筋からクレームが来ることもあるようだ。
step2
現在の墓地管理者(お寺など)に相談する
手続きの際に署名・捺印をもらう必要があるため、あらかじめ相談し了承を得ておく。離檀料(お布施)を要求されることもある。
step3
新しい墓(改葬先)を決める
遺骨の引っ越し先を決める。後継ぎがいない場合は、永代供養墓などを検討する。
step4
墓石の解体・撤去工事業者を決める
工事を依頼する石材店を決める。指定石材店がいることがあるので、現在の墓地管理者に相談するとよい。
step5
現在の墓地管理者に署名・捺印してもらう
市区町村に提出する「改葬許可申請書」に署名・捺印してもらう。
step6
現在の墓地がある市区町村へ改葬許可を申請
「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を受け取る。
step7
遺骨を新しい墓(改葬先)へ移す
現在の墓地で閉眼法要(魂抜き)をして遺骨を取り出し、新しい墓で開眼法要(魂入れ)をして遺骨を納める。「改葬許可証」を新しい墓地の管理者に提出する。
step8
これまでの墓を解体・撤去する
撤去費用は高額になることが予想されるため、契約前に見積を取る。1平方メートルあたり10万円がおおよその相場といわれている。
改葬後の墓のタイプ
■一般墓
墓地・霊園に建てる通常の墓のこと。土地使用権と墓石工事代で100万円〜300万円。
■納骨堂
屋内のロッカー式のものが大半。1〜2人分で20万円〜100万円。
■樹木葬
墓石の代わりに樹木や草花の下に埋葬し、それらの植物を墓標とする形式。1人分で15万円〜80万円。
■永代供養墓
寺院や霊園に遺骨の管理を永代にわたって任せること。一般墓への改葬だと、お墓を継ぐ人が必要だが、永代供養墓であればその心配はない。
合祀型(他人と共同で入る)の場合の費用は10万円から30万円。個別型でも30万円から100万円。
■散骨という選択肢も
近年「散骨」といった自然葬が注目されるようになり、希望する人も多くなってきた。現在は海洋散骨が中心で、常識やモラルを守って行えば法律上の問題はないとされており、業者も多く存在する。